コラム

ウェブサービスと法律

求人サービスで気をつけるべき「職業紹介」への該当性

はじめに
求人サービスを提供するとき、それが「職業紹介」にあたるかどうかで手続きが大きく異なってきます。「職業紹介」にあたるサービスを提供するには、厚生労働大臣の許可を受ける必要があるからです。
それでは、どのようなサービスが「職業紹介」にあたるのでしょうか。

「職業紹介」とは
「職業紹介」とは何かについては、職業安定法の4条1項に定められています。

「この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。」

要するに、求人(企業発信)と求職(個人発信)のいずれについても、雇用関係が成立するようにあっせんすることをいいます。
ここでポイントとなるのが、次の2つです。
1) 雇用関係に関するものであること
2) あっせんであること

「雇用関係」をあっせんするものであること
「職業紹介」は、「雇用関係」が成立するようにあっせんするものですから、「業務委託」については対象外となります。
このため、「業務委託」のマッチングサービスを提供していても、職業紹介にはあたりません。

「雇用」と「業務委託」の線引き
では、「雇用」と「業務委託」の線引きはどのようにするのでしょうか。
「雇用」される者を労働者といい、労働者性の判断基準については、次の1、2を総合的に勘案することで、個別具体的に判断するとされています(
昭和60年厚生労働省「労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について

要するに、企業と個人との間に「使用従属関係」があるかを中心に、総合的に判断されることになります。

「あっせん」と情報提供との線引き
次に、雇用関係を「あっせん」するものでなければ職業紹介にあたりません。
「あっせん」とは、「求人者と求職者との間をとりもって雇用関係の成立が円滑に行われるように第三者として世話すること」をいいます。 では、どのようなものが「あっせん」にあたるのでしょうか。

この点について、厚生労働省が発表している「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準」が参考になります。

要約すると、
ア)情報提供のみであれば、職業紹介にはあたらず許可の必要なし
イ)雇用契約の成立に関与すれば、職業紹介にあたり許可が必要
となる可能性ありということになります。

イ)については、具体的には、
・求人企業または求職者に対して、特定の相手を提供すること
・求人企業と求職者との間の連絡を仲介すること
・ホームページを介して、求人企業と求職者との連絡がされる場合に、その内容に加工を加えること

といった行為があると、「雇用契約の成立への関与」が認定されることになります。

まとめ
このように、求人サービスの提供を検討するときには、
1)「雇用関係」を対象とするのか(業務委託でよいのか)
2)「あっせん」するのか(情報提供のみでよいのか)
を吟味したうえで、「職業紹介」サービスをするのか、それ以外のサービスをするのかをまず考える必要がありますので、ご注意ください。

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