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システム開発の法律

業務委託契約書の契約不適合責任(担保責任)とは?初心者向けのポイント

業務委託契約書とは、業務を発注(委託)する側と業務を受注(受託)する側が、その業務内容や条件等を取り決めるための契約書です。

その中でも、受注側が成果物の納品後いつまで無償補修や減額等をする責任を負うのか、という契約不適合責任(担保責任)に関する条項は大切ですので、そのポイントをご説明します。

民法の原則

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

第六百三十七条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

民法の原則では、成果物の引き渡しから10年間(民法166条1項2号)の間で、発注側が不適合を知った時から1年以内に受注側に通知すれば良いため(民法637条)、発注側にかなり有利になります。

契約書の契約不適合責任

このため、受注側としては契約書で担保責任を負う期間を明確にすることが望ましく、業務委託契約書に次のような契約不適合責任(担保責任)の条項を挿入することが一般的です。

甲は、引き渡しを受けた成果物について、その全部又は一部が本契約の内容に適合しないこと(以下「不適合」という。)を発見した場合には引渡しからから●年以内に乙に通知することにより、乙に対して、修補、代替物若しくは不足物の引渡し、又は代金の減額のいずれかを請求し、或いは該当の個別契約の解除を行った上で業務委託料の返金(当該不適合が本契約の締結の目的に照らして軽微である場合を除く。)を求めることができる。

受注者側の考え方

受注者側から見ると、納品をしてから長期間経過後に担保責任を追及されるのは負担が大きいです。できる限り、担保責任を負う期間(上記の「●」を短く設定すること(半年や1年など)望ましいです。

発注者側の考え方

契約不適合責任を追及できる期間(上記の「●」)は、発注側からすれば長期(3年や5年など)である方がベターであると考えられます。

しかし、例えば、広告素材(バナーなど)の取引の場合は使用期間も短くなり、半年以上経過して問題が発生する可能性は低いため、この場合には契約不適合責任の期間は短くても問題がなく、この場合は受注側に譲歩しても構わないという考え方もできます。

おわりに

このように、契約不適合責任の条項は、成果物の内容や使用期間に注意をして、双方のニーズに合わせた期間設定をすることが望ましいです。

 

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