コラム

ウェブサービスと法律

スタートアップが大企業とNDAを結ぶときに注意することは?

はじめに
大企業がスタートアップと協業することは少なくありません。スタートアップ企業としては、大企業と協業することによるメリットは大きく、契約条件はそこまで気にしないということもあるかと思われます。
もっとも、近年、三菱商事の物流倉庫ビジネスなど、大企業が協業していたスタートアップのビジネスモデルと類似するビジネスを始めるようなケースも見受けられるようになってきました。このようなことが起こると、スタートアップが大企業に対抗していくことは難しいため、事前に十分な備えが必要です。
それでは、スタートアップが大企業とNDA(秘密保持契約書)を結ぶときには、どのような点に注意するべきなのでしょうか?

注意するべきなのは範囲と期間
NDAを結ぶときに最も注意するべきなのは、秘密とするべき情報の範囲と、秘密保持の期間です。
まず、秘密とするべき情報の範囲については、一般的に、次のように規定されます。
――
本契約における「秘密情報」とは、甲又は乙が相手方に開示し、かつ開示の際に秘密である旨を明示した技術上又は営業上の情報、本契約の存在及び内容その他一切の情報をいう。
――
秘密保持契約書は、大きく分けて、上記例のように、秘密とするべき情報の範囲を「秘密である旨を明示」したものに限定するものと、「開示する一切の情報」とするものとに分かれます。
「一切の情報」とする方が秘密情報の範囲は広くなりますが、逆にいえば、管理が難しくなるため、実際に秘密として守られる可能性は低くなってしまうおそれがあります。
よって、社内の情報管理上可能であれば、「秘密である旨を明示」したものに限定することが望ましいといえます。
また、実務的な対応としては、先方へ提供する資料のうち秘密保持の対象としたいものには、「秘密」「Confidential」などのスタンプをし、可能な限り、口頭では秘密情報を扱わないようにすることが重要です。

秘密保持の期間
秘密保持の期間については、例えば、次のように規定されます。
――
本契約の有効期限は、本契約の締結日から起算し、満○年間とする。
――
この〇年間については、5年程度とすることが多く、ウェブサービスなどでは3年程度とすることも多いといえます。
この期間をどの程度とするかは、秘密情報や対象ビジネスの内容によりますが、1年といった期間では、ビジネス環境にそこまでの変化が起きていない場合があり、相手企業が同種ビジネスを始めるリスクがあるため、基本的には望ましくありません。

おわりに
スタートアップが大企業と取引をする際に気を付けるべきことは沢山あります。それらの全てがNDAで解決できるわけではありませんが、上記のような点に注意して、秘密情報が不当に利用されることのないよう注意することが望ましいといえます。
弊所ではNDAに関するご相談やご依頼をお受けしておりますので、ご気軽にお問合せください。
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