コラム

インターネットと個人情報

「防犯カメラの映像を見せて」と言われたら開示すべき?防犯カメラ映像は保有個人データに当たるのか

*本コラムは令和4年4月1日施行の改正個人情報保護法を前提にしています。

会社が設置している防犯カメラについて「防犯カメラの映像を見せてほしい」と求められた場合、開示しなければいけないのでしょうか。

はじめに、「保有個人データ」とは、「個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの以外のものをい」います(法第16条第4項)。
自社にあるデータベース化された個人情報全てが「個人データ」にあたりますが、その中には、発注元から委託を受けて使用している「個人データ」など、自社が保有しない個人データも含まれます。このような個人データは、その会社にとって、その内容を訂正したり、利用を停止するといったことを判断する立場にありません。
よって、個人データのうち、自社が保有する「保有個人データ」のみが、本人からの開示請求等の対象となります。

では、防犯カメラ映像は、保有個人データに当たるのでしょうか。
以下、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A (以下、「Q」といいます。)に沿ってみていきます。

防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報は個人情報に該当(個人情報取扱事業者等に係るガイドライン(以下、「ガイドライン」といいます。)2-1参照)しますが、特定の個人情報を検索することができるように「体系的に構成」されたものでない限り、個人情報等データベース等には該当しないと解されます。すなわち、記録した日時について検索することが可能であったとしても、特定の個人に係る映像情報について検索することができない場合には個人情報データベース等には該当しないと解されます(Q1-41)。

一方、防犯目的のために、万引き・窃盗等の犯罪行為や迷惑行為に対象を限定した上で、顔認証データを登録して保有個人データとした場合には、保有個人データの開示義務の例外事由に該当しない限り、法令に基づき開示請求等に適切に対応する必要があります(Q9-13)。

店舗等に防犯カメラを設置し、撮影したカメラ画像やそこから得られた顔認証データを防犯目的で利用する場合には、防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報は個人情報に該当するので、個人情報の利用目的をできる限り特定し、利用目的の範囲内でカメラ画像や顔認証データを利用しなければなりません(法第17条)。また、個人情報の利用目的をあらかじめ公表するか、個人情報の取得後速やかに本人に通知若しくは公表する必要があります。
そのため、「防犯カメラ作動中」等と掲示するほか、カメラ画像及び顔認証データの利用目的や問い合わせ先等を本人が確認できるよう設置場所等に明示する等、防犯カメラにより自らの個人情報が取得されていることを本人が認識するための措置を取る必要があります。
自社でカメラ画像や顔認証データを体系的に構成して個人情報データベースを構築した場合には、個々のカメラ画像や顔認証データを含む情報は個人データ(法第16条第3項)に該当し、「保有個人データ」として、法第33条に規定されている通り、本人は事業者に対して開示請求することができます(ガイドライン3-8-2参照)。
なお、カメラ画像を取得してこれを防犯目的のみに利用し、顔認証データは取り扱わなかった場合、従来型の防犯カメラの場合には、「取得の状況からみて利用目的が明らか」(法第21条第4項第4号)であることから、利用目的の通知・公表は不要と考えられますが、そのような場合であっても、防犯カメラが作動中であることを掲示し、防犯カメラにより個人情報が取得されていることを本人において容易に認識可能とするための措置を取ることが望ましいと考えられています(Q1-12)。

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