コラム

ウェブサービスと法律

景品規制を回避するための2つのポイント

はじめに
キャンペーンを検討する際に気を付けなければならないのが、景品表示法による景品規制です。景品規制には厳格なルールがあり、景品として許容される範囲は明確に定められています。
もっとも、次の2つのポイントに注意することで、キャンペーンの目的を達しつつ、景品規制を回避することができる場合があります。

取引付随性
景品表示法上の景品類とは、(前略)事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益(後略)をいいます (景品表示法2条3項) 。
よって、「取引に付随」(商品・サービスの購入を条件と)しないで提供するものは、景品表示法で規制される「景品類」にあたりません.

不当景品類及び不当表示防止法第2条3項
この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

ウェブサイト上で実施されるキャンペーン
このため、ウェブサイト上で実施される懸賞企画は、取引に付随する経済上の利益の提供に該当せず、景品規制の対象とはなりません。懸賞応募の条件として無料の会員登録やメールマガジンへの購読を求めたとしても、商品・サービスの購入を条件としていなければ景品規制の対象とはなりません

ただし、商品・サービスを購入しなければ応募できない場合や、商品・サービスを購入することによって応募が可能又は容易になる場合には、取引に付随すると認められ、景品規制の対象となります。

紹介者キャンペーン
また、SNSで「ハッシュタグを付けてつぶやいた人」を対象とするキャンペーンについても、ハッシュタグを付けてつぶやくこと自体は、「取引に付随」するものではないため、景品規制の対象とはなりません。
上記以外でも、紹介者キャンペーンは、原則的に「取引に付随」しません。ただし、紹介者を商品・サービスの購入者に限定する場合には、「取引に付随」する提供となり、景品規制の対象となります。

値引きへの該当性
また、適正な値引きに該当するキャンペーンも景品規制の対象とはなりません。
例えば、キャッシュバックや「購入者に更に1個プレゼント」のようなキャンペーンは、適正な範囲であれば値引と認められる経済上の利益に該当し、景品規制の適用対象とはなりません。

ただし、懸賞(抽選など)により行う場合、キャッシュバックの使途を制限する場合、又は同一の企画において景品類の提供を併せて行う場合は、景品規制の適用対象となるため注意が必要です。

おわりに
以上のとおり、取引付随性と値引きへの該当性の2つのポイントに注意することで、景品規制を回避することが可能な場合があります。但し、実際の運用にはケースバイケースの判断が必要となりますので、法律専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。
弊所では景品表示法に関するご相談やご依頼をお受けしておりますので、ご気軽にお問合せください。
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