はじめに
資金移動業者は、資金移動業に関して、帳簿書類の作成・記録保存や、報告等義務を負います。これを怠ると処分の対象となりえますので、適切に実施することが必要です。
帳簿書類の作成・記録保存
資金移動業者は、その資金移動業に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならないとされています(資金決済法52条)。
具体的には、以下のとおり書類を作成・保存しなければなりません(府令33条1項。但し、説明の簡略化のため、府令11条4項関連及び第三種資金移動業関連を割愛しています)。
1)必ず必要となる書類
・資金移動業の種別ごとの取引記録 10年
・総勘定元帳 10年
・各営業日における資金移動業の種別ごとの未達債務の額及び要履行保証額 5年
・各算定日における資金移動業の種別ごとの要供託額の記録 5年
2)資金移動業の利用者との間で為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結している場合に必要となる書類
・顧客勘定元帳 10年
3)履行保証金を供託している場合に必要となる書類
・各算定日における資金移動業の種別ごとの履行保証金の額の記録 5年
4)履行保証金について信託契約を締結している場合に必要となる書類
・各算定日における資金移動業の種別ごとの信託財産の額の記録 5年
定期報告
資金移動業者は、定期的に、以下の報告書を財務(支)局へ提出しなければなりません。
1)資金移動業に関する報告書(資金決済法53条1項、3項)
事業年度ごと、事業年度の末日から3カ月以内
2)未達債務の額等に関する報告書(資金決済法53条2項、3項)
毎年3月31日、6月30日、9月30日、12月31日の報告基準日ごとに、報告基準日から一月以内
3)業務報告書および資金移動業者の委託先に関する報告書
毎年3月末の業務報告を5月末まで
特別な届出
対象となる事象が生じた場合には、以下のとおり届け出なければなりません。
1)不祥事
資金移動業者は、取締役等又は従業者に資金移動業に関し法令に違反する行為又は資金移動業の適正かつ確実な遂行に支障を来す行為があったことを知った場合には、当該事実を知った日から2週間以内に報告をしなければなりません(府令39条)。
2)疑わしい取引
資金移動業者は、収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるなどの場合には、金融庁及び警察庁に届け出なければなりません(犯収法8条1項)。
おわりに
以上のとおり、資金移動業者は、帳簿書類の作成・記録保存、報告義務等を適切に履行しなければなりません。
弊所でも、報告等のサポートも行っておりますので、お気軽にお問合せください。