コラム

資金決済法/資金移動業

資金移動業における履行保証金の供託スケジュール

はじめに
資金移動業は、資産保全方法として「供託」を選んだ場合、要履行保証額の最高額(要供託額)以上の額を、履行保証金として、その本店の最寄りの供託所に供託しなければなりません(資金決済法第43条第1項)。
本コラムでは、「供託」の具体的スケジュールについてご説明します。
なお、本コラムでは、説明の簡略化のため、第二種資金移動業で資産保全方法として供託のみを選んだ場合を前提にしています。

要供託額の算定
資金移動業者は、登録に際して以下の各事項を予め定めます。
1)営業日
2)未達債務算出時点
3)未達債務算出方法
4)基準日
5)算定期間(1週間以内(資金決済法43条1項2号))
まず、資金移動業者は、「未達債務算出方法」に基づき、各「営業日」の「未達債務算出時点」における未達債務の額を算出します(「未達債務算出方法」については、「資金移動業の未達債務の算出方法について」にて詳しくご説明しております。)。
この未達債務の額に権利実行の手続費用(未達債務の額が1億円以下のときは未達債務の額の5%)を加えた金額が要履行保証額となります。
そして、「基準日」を末日とする「算定期間」を通じて最高額の要履行保証額が要供託額となります。

要供託額の供託
資金移動業者は、要供託額以上の金額を、基準日から3営業日以内に供託しければなりません(資金決済法第43条1項2号、内閣府令11条2項)。

供託スケジュールの具体例
例えば、営業日を月曜日から土曜日、未達債務算出時点を午後3時、基準日を土曜日、算定期間を1週間と定めたと仮定します。
まず、資金移動業者は、各営業日の午後3時時点の要履行保証額を日々算出します。
その上で、基準日である土曜日を末日とする1週間(非営業日の日曜日を除く、当該週の月曜日から土曜日まで)の要履行保証額を比較し、その最高額が要供託額となります。
そして、当該土曜日から3営業日以内(初日不算入)に要供託額を供託します。
営業日には、日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、同月3日及び12月29日から同月31日までの日数は算入されません。
よって、特に祝日等のない週であれば、翌週の水曜日までに供託をすることになります。

不足する差額分の供託
以上のようにして算出した要供託額が、最低要履行保証額(1000万円)を超えない場合や、
前週までに供託した履行保証金を超えない場合には、新たに供託をする必要はありません。
要供託額が前週までに供託した履行保証金を超えた場合には、不足する差額分を期限までに供託します。
要供託額以上の金額を供託しておけば良いため、少し余裕をもって多く供託しておけば、こまめに供託をする手間を省くことができます。
ただし、多すぎたとしても、履行保証金の取り戻しには財務支局長の承認を要するため注意が必要です。

おわりに
このように、要供託額の算定には厳格なルールがあり、また供託期限も短いため、きちんと仕組み(システム)化しておくことが必要です。
また、未達債務の算出時点等をどのように設定するかも供託額に影響してくるため、良く検討する必要があります。
弊所でも資金移動業登録申請サポートを行っておりますので、以下もぜひご覧ください。
資金移動業の登録申請サポートについて

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