はじめに
近年、「マーケティングDX」が話題です。企業法務部においても、「マーケティングDX」を自社で導入するにあたって、契約書のレビューなどで携わることがあると思われます。
本コラムでは、法務パーソンが知っておきたい、最低限の「マーケティングDX」のポイントを説明します。
用語の説明
「マーケティングDX」とは、「マーケティング」+「DX」です。
まず、「マーケティング」とは、広義では「商品・サービスが売れる仕組みを作ること」です。狭義では「広告・宣伝・営業」などの活動をいいます。
次に「DX(Digital Transformation)」とは、業務プロセスをデジタル化してより良くすることと言えます。
よって、「マーケティングDX」とは、(広)売れる仕組み作りをデジタル化してより良くすること、(狭)広告・宣伝・営業をデジタル化してより良くすること、と考えればイメージがしやすくなります。
例えば、見込み顧客への営業プロセスを効率化するために、WEBからの問い合わせ⇒見込み顧客へのアプローチのプロセスを自動化することが挙げられます。
法務が注意すべきポイント
「マーケティングDX」の導入にあたって法務が注意するべき最も重要なポイントは、個人情報保護法への対応です。「マーケティングDX」を活用していくには、顧客情報をデータベース化し、分析し、それを利用して顧客へアプローチしていくことが必須だからです。
先ほどの例で言えば、WEBからの問い合わせを受けた段階で顧客情報をデータベース化し、分析し、これを利用して自動的に顧客へアプローチをしてくことになります。
このため、個人情報の収集段階(先ほどの例であればWEB上の問い合わせフォーム)で、その後の展開も含めた利用目的をできる限り特定し(個人情報保護法17条1項)、これを適切に公表しておかなければなりません(同法21条1項)。
この点、PPCのFAQにおいて、「本人に関する行動・関心等の情報を分析する処理を行う場合には、分析結果をどのような目的で利用するかのみならず、前提として、かかる分析処理を行うことを含めて、利用目的を特定する必要があります。」とされている点に注意が必要です。
Q2-1 個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的を「できる限り特定しなければならない」とされていますが、どの程度まで特定する必要がありますか。
おわりに
法務の立場では、「マーケティングDX」の仕組みの細部まで理解することは、おそらく必須ではありません。しかし、その仕組み・プロセスのどこに法務リスクがあるのかには敏感である必要があります。この点、個人情報保護法との関係については、違反することによるリスクも大きいため、十分な注意が必要です。
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