コラム

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未成年者からの返金要求への対応方法

はじめに

未成年ユーザーへどのように対応するべきか」でご説明したとおり、未成年者による法律行為は取り消すことができます(民法5条2項)。それでは、ユーザーから、未成年者であることを理由に返金要求があった場合には、どのように対応したらよいでしょうか?

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社内調査

未成年者であることを理由とした返金要求があった場合、まず行うべきことは返金(予定)額の確認です。なぜなら、返金額によって、対応コストとの兼ね合いでその後の対応方針が変わってくるからです。

この他、契約関係(利用規約その他での未成年者の取扱い)や対象ユーザーの情報(登録情報、課金方法、課金状況、サービスの利用状況)を調査します。

返金(予定)額に応じたケースセオリー

A 返金(予定)額が、千円未満など少額であるケース
このようなケースでは、対応コストが返金(予定)額を超えることが明らかなため、対応コスト(確認事項)を最小限に抑えることが基本方針となってきます。
このため、課金ユーザーが未成年者であることを中心に事実確認をしていくことが考えられます。

B 返金(予定)額が、1万円以内など一定程度のケース
このようなケースでは、返金額も小さくないため、軽々に返金を認めることはできません。また、金額的に、小遣いの範囲内として未成年者取消の対象外となる(*)可能性も相当程度あります。
このため、保護者(法定代理人)の許可の有無を中心に、事実確認をしていくことが考えられます。

*民法5条3項
第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

C 返金(予定)額が、1万円を超えているケース
このようなケースでは、事業に与える影響も大きいため、返金は厳格な事実確認を前提とするべきです。
また、金額的に、成年による課金が疑われるため、実際に未成年によって課金がされたかを中心に事実確認をしていくことが考えられます。

もちろん、返金(予定)額は小さいが他ユーザーへの波及効果が心配される場合、逆に返金(予定)額は大きいが未成年者ユーザーによる課金であることが明らかな場合など、状況によってケースバイケースの対応がありえます。

ユーザーに対する調査

社内調査を行ったあとは、返金要求をしてきたユーザー(又はその保護者)へ問い合わせをして、更に詳しい事実確認を行います。
確認すべき主な内容は、次のとおりです。
① 取消(返金)を求める課金の範囲
② ①が未成年者による課金であること
③ ①について未成年者が同意/許可をえていないこと
④ 返金要求をしてきた人物が未成年者本人又はその法定代理人であること

これらについて、ユーザー側から、可能な限り客観的な資料の提出を受けて事実確認をする必要があります。
②や④については、公的証明書による確認が原則ですが、必要以上に個人情報を入手することを防ぐため、一部マスキングをした上での提出を求めるなど、柔軟な対応が望ましいといえます。

おわりに

このように、未成年者からの返金要求に対しては、対応コストも考え、ケースセオリーに応じた合理的な事実確認を行うことが重要です。なお、返金要求を放置した場合には、消費者センター等の介入もありえる分野ですので、適切な対応は必須といえます。

弊所では未成年者取消対応に関するご相談やご依頼をお受けしておりますので、ご気軽にお問合せください。

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