SEO対策として、メタタグに重要なキーワードを入れておくことは、広く行われています。それでは、メタタグに、他社の登録商標を使用した場合、商標権侵害になるのでしょうか。メタタグは、ブラウザの画面には基本的に表示されないために、疑問が生じます。
この疑問に対して、裁判例(東京地方裁判所平成27年1月29日)は、これを肯定しています。判断の理由は、次のとおりです。
「インターネットの検索エンジンの検索結果において表示されるウェブページの説明は,ウェブサイトの概要等を示す広告であるということができるから,これが表示されるようにhtmlファイルにメタタグないしタイトルタグを記載することは,役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為に当たる。そして,被告各標章は,htmlファイルにメタタグないしタイトルタグとして記載された結果,検索エンジンの検索結果において,被告サイトの内容の説明文ないし概要やホームページタイトルとして表示され(甲20,21),これらが被告サイトにおける家具等の小売業務の出所等を表示し,インターネットユーザーの目に触れることにより,顧客が被告サイトにアクセスするよう誘引するのであるから,メタタグないしタイトルタグとしての使用は,商標的使用に当たるということができる。」
このように、メタタグが、検索エンジンの検索結果において、被告のウェブサイトの説明文等として表示されることを根拠に、メタタグに登録商標を入れることは、登録商標の商標的使用に当たる(商標権侵害となる)と判断しています。
よって、メタタグに他社の登録商標を入れることは、ライセンスを受けている場合を除き、避けるべきです。
この他、この裁判例では、商品画像の著作物性についても判断がされています。
商品画像は、画一的な表現になりがちですので、著作物に必要な要件である「創作性」が認められるか否かが問題となりました。
この裁判例では、次のような事実を認定し、「創作性」を肯定しました。
「原告各写真は,原告製品の広告写真であり,いずれも,被写体の影がなく,背景が白であるなどの特徴がある。また,被写体の配置や構図,カメラアングルは,製品に応じて異なるが,原告写真A1,A2等については,同種製品を色が虹を想起せしめるグラデーションとなるように整然と並べるなどの工夫が凝らされているし,原告写真A9,A10,H1ないしH7,Cu1,B1,B2,PB1については,マット等をほぼ真上から撮影したもので,生地の質感が看取できるよう撮影方法に工夫が凝らされている。これらの工夫により,原告各写真は,原色を多用した色彩豊かな製品を白い背景とのコントラストの中で鮮やかに浮かび上がらせる効果を生み,原告製品の広告写真としての統一感を出し,商品の特性を消費者に視覚的に伝えるものとなっている。」
このように、判決では、商品写真に凝らされた「工夫」に着目し、その創作性を肯定しました。商品写真には、商品を魅力的に見せるための何らかの「工夫」がされていることが多いといえます。
よって、商品写真の著作物性が争われた場合には、撮影者と十分なコミュニケーションをとり、写真に凝らされた「工夫」を裁判官に分かりやすく伝えることが求められているといえます。
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