コラム

ITと知的財産権

©マークと海外における著作権

©マークと著作権

ウェブサイトのページの下部には、©マーク、西暦年、サイト管理者等の記載があることがほとんどです。
しかしこの©マーク、著作権の保護を受けるために必ずしも必要なものではありません。
このマークを必要とする根拠は日本の法律ではなく、条約にあります。

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方式主義と無方式主義

この条約の内容に入っていく前に、まず前提として、著作権の保護についての考え方である「方式主義」と「無方式主義」について触れる必要があります。

まず「方式主義」とは、著作物に著作権が生ずるにつき、著作権がある旨の表示や、登録など、何らかの手続きを要する考え方をいいます。

一方「無方式主義」とは、方式主義とは異なり、何らの手続きを踏むことなしに著作物に著作権が生ずるという考えかたです。

これを前提に見ると、©マークの根拠である『万国著作権条約』第3条1項は、
以下のように、自国で著作権の条件につき登録、表示等を方式に従うことを要求する場合には、と留保を付けた上で、他国における著作物について、©マーク、著作権者の氏名、著作物等の最初の発行の年の記載のある著作物に著作権を認めるものとする旨定めています。
http://www.mext.go.jp/unesco/009/003/003.pdf(文部科学省HP)

すなわち、方式主義をとっている他国において自国の著作物の著作権を認めてもらうためには、©マーク等の記載が必要となるということです。

©マークの記載が必要な場合

現在、多くの国が上記の万国著作権条約のほか、ベルヌ条約という条約にも批准しています。

ベルヌ条約とは無方式主義を原則とする条約であるところ、多くの国においては、©マーク等なしに自国の著作物につき著作権を主張できるということになります。
一方、©マーク等の表示が意味を持つ国というのは、万国著作権条約に批准しており、かつ、方式主義をとる国、つまりベルヌ条約には批准していない国ということです。

各国の万国著作権条約、ベルヌ条約等の批准状況は以下で確認することができます。
http://www.cric.or.jp/db/treaty/status.html(公益社団法人著作権情報センターHP)
現状ではカンボジア等がここにあたることとなります。

日本における著作物に著作権が認められない国

では、今回の©マーク等表示とは離れて、そもそも日本における著作物について著作権を認めることが義務付けられない国についても見ていきます。

このような国としては、上記のような条約に批准していない国、というものが考えられます。

しかし、上記条約に批准していない国であっても、WTOに加盟している国においては著作権が無方式で認められます。

WTOと一体をなすTRIPs協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)が、ベルヌ条約の遵守を定めているためです。
台湾などがここにあたることになります。

WTO締結国は以下になります。
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/international/wto/c07.pdf(財務省HP)

また、日本と特別に著作権保護をするとの条約を締結している国も、当然、日本の著作物の著作権を認めている国ということになります。

結局、上記条約等著作権に関する条約等に批准・加盟しておらず、かつ日本と個別の条約も締結していない国というのが、日本における著作物の著作権を認めない国になります。

おわりに

結論として、自らのウェブサイトにつき、カンボジア等の国において等、広く著作権を主張できるようにするには、©マーク等の記載は必要になってきます。
国際化が進む中では、諸外国の人々とのかかわりも生まれてくるものと思います。
今回の©マークは大きな問題が生じにくいものでしたが、ウェブサービスの展開に当たっては、国外における利用についても意識しておくことが重要と思われます。

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