コラム

ITと知的財産権

データの取引で注意したいポイント3つ

はじめに

データの取引の意味とは?」でご説明したとおり、データの取引(提供/開示)は特殊性の高い取引であり、契約上で条件を明確に定めておく必要があります。
ここでは、データの取引条件の中で、特に注意したいポイントを3つ挙げてご説明します。

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派生データの取扱い

提供/開示されたデータは、提供先で利活用されます。
利活用される中で、新たなデータ(派生データ)が生じることがあります。
それでは、誰がこの派生データを使用できるのでしょうか?
まず、元データの提供先(派生データの作成者)が派生データを使用できることは当然です。
他方、元データの提供元については、データの特殊性から、契約で全く定めていなければ、提供先に対して派生データの使用(提供)を求めることができません。

よって、元データの提供元は、派生データを使用したいのであれば、契約書でこれを明記しておくことが必要です。

提供/開示されたデータの品質担保

提供/開示されたデータが、不正確、不完全又は目的に適合しないということがありえます。
このような場合、データの取引も有償契約(金銭を支払う契約)ですので、契約書で明記していなくても、民法に基づき、契約不適合責任を追及することは可能です。
もっとも、データについては、その特殊性から、契約当事者がどの程度の品質を契約目的としていたか明確にならない場合が少なくありません。
よって、データの提供先としては、どのような品質を期待し、どの範囲で提供元が責任を負うかについて、(表明保証条項などで)契約書で明記しておくことが望ましいといえます。
但し、データについては、提供元としても完全性等を保証しえない場合が多いため、逆に免責条項が挿入されることも少なくありません。

提供/開示されたデータから発生した損害の取扱い

提供/開示されたデータについて、提供先に対して第三者から知的財産権侵害等を利用に損害賠償請求がされることもありえます。
この点、契約上で明確になっていない場合、提供元が提供先が被った損害を負担する責任があるか否かについては、いずれの考え方もありえます(データに起因するものだから提供元は責任を負うとも考えられる一方で、提供元はデータについて品質の保証をしていなから責任を負わないとも考えられる。)。
よって、データの提供先としては、データに起因して損害賠償請求を受けた場合、一定の範囲又は場合に提供元が責任を負うことを明記しておくことが望ましいといえます。

*以上について、詳しくは、AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1 版

おわりに

以上のとおり、データについては「権利」がないという特殊性等から、民法その他の法律でカバーしきれない場面が少なくありません。
よって、当事者としては、生じうるリスクを想定し、契約書中に必要な条項を挿入していくことが重要です。

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