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外為法における事前届出とは?

外為法における事前届出とは?

外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」といいます。)*1に基づき、外国投資家が日本の企業に一定の投資を行う場合等には、事前届出を提出する必要があります。

*1 外為法は、対外取引の正常な発展、我が国や国際社会の平和・安全の維持などを目的に外国為替や外国貿易などの対外取引の管理や調整を行うための法律です(経済産業書「外国為替及び外国貿易法(外為法)について」)。

外為法に基づき、健全な投資を一層促進しつつ、国の安全等に係る技術などが流出することなどを防ぐため、①外国投資家が、②国の安全等の観点から指定される事前届出の必要な業種を営む日本の企業に対して③投資等(外為法26条2項、同法26条3項)を行う場合、外国投資家は財務大臣及び事業所管大臣あてに事前届出を行う必要があります。

(令和元年8月22日財務省国際局「対内直接投資審査制度について」関税・外国為替等審議会外国為替等分科会資料6p.3から抜粋)

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1.外国投資家とは

外為法では、外国投資家を次のとおり規定しています(外為法第26条第1項、令和5年4月日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループ「外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編)」(以下、「Q&A」といいます。)Q2)。

(1) 非居住者である個人:外国人投資家等
(2) 外国法令に基づいて設立された法人その他の団体又は外国に主たる事務所を有する法人その他の団体(これらの法人その他の団体の在日支店を含みます。)((4)に該当するものを除く。):外国法人等
(3) 上記(1)または(2)に掲げる者により直接または間接に保有される議決権の合計が50%以上を占める会社:取締役の過半数を外国人が占めている国内法人、外国法人の子会社である国内子会社、孫会社等
(4) 投資事業を営む組合や投資事業有限責任組合など(外国組合を含む)であって、非居住者等からの出資の割合が総組合員の出資の金額に占める割合が50%以上の組合又は、業務執行組合員の過半数が非居住者等で占められている組合。:業務執行組合員が外国投資家である組合等

上記で定義づけられている外国投資家が投資等を行う場合には、一部手続き不要のもの*2*3を除き、日本銀行を経由して財務大臣及び事業所管大臣に、①事前届出(取引又は行為を行う前に届け出ること)か、②事後報告(取引又は行為を実際に行った後で報告する)必要があります(外為法第27条第1項、外為法第55条の5第1項)(Q&A Q3)。

*2 外為法第27条の2第1項または同法第28の2第1項に基づき、国の安全に係る対内直接投資等又は特定取得に該当するおそれが大きいものとして政令で定める以外のもの以外のものを行う際に事前届出をせずに対内直接投資等または特定取得を行うことができる制度を総称して「事前届出免除制度」といいます。この場合、当該外国投資家は、財務大臣及び事業所管大臣が定める対内直接投資等が国の安全等に係る対内直接投資等に該当しないための基準(Q&A Q8参照)を遵守する必要があります(Q&A Q5)。
*3 対内直接投資等であっても、届出・報告が不要となるケースもあります(対内直接投資等に関する政令(以下、「直投令」といいます。)第3条第1項、対内直接投資等に関する命令第3条第2項、Q&A Q13)。

2.国の安全等の観点から指定される事前届出の必要な業種を営む企業(指定業種)とは

事前届出の対象となるのは、国の安全等の観点から指定される指定業種と呼ばれるものです。事前届出の必要な指定業種について1つでも営んでいる場合は、事前届出の対象となります。事業規模には関係がなく、子会社が以下の業種を営んでいる場合も事前届出の対象となります(「外国投資家による投資についてー外為法に基づく対内直接投資審査制度ー」2023年5月財務省国際局(以下、「財務省国際局」といいます。)、pp.4-5*4

*4 尚、事前届出を提出する必要のない場合も、10%以上の株式取得を行う際には、外国投資家は事後報告書を提出する必要があります(財務省国際局、p.12)。

3.事前届出の必要な業種

■武器・航空機(無人航空機を含む)・宇宙開発・原子力関連の製造業、及び、これらの業種に係る修理業、ソフトウェア業
■軍事転用可能な汎用品の製造業
■感染症に対する医薬品に係る製造業、高度管理医療機器に係る製造業
■重要鉱物資源に係る金属工業・製錬業等、特定離島港湾施設等の整備を行う建設業
■肥料(塩化カリウム等)輸入業
■永久磁石製造業・素材製造業
■工作機械・産業用ロボット製造業等
■半導体製造装置等の製造業
■蓄電池製造業・素材製造業
■船舶の部品(エンジン等)製造業
■金属3Dプリンター製造業・金属粉末の製造業
■サイバーセキュリティ関連業種(情報処理関連の機器・部品・ソフトウェア製造業種、情報サービス関連業種)
■インフラ関連業種(電力業、ガス業、通信業、上水道、鉄道業、石油業、熱供給業、放送業、旅客運送)
■その他(警備業、農林水産業、皮革製品製造業、航空運輸業、海運業)等

指定業種に関するリンク:
指定業種を定める告示(財務省)
別表第1(財務省)
別表第2(財務省)
別表第3(財務省)

また、このうち、一部はコア業種に指定されており、コア業種は国安全等を損なうおそれが大きい業種として定められているため、遵守すべき基準が追加されるので注意が必要です。

コア業種の例:
■武器航空機・宇宙・原子力
■原油・天然ガス工業・石油精製業
■レアアース
■医薬品・高度医療機器
■軍事転用可能な汎用貨物の製造業

4.投資等とは

上記の事前届出が必要な業種を営む企業に対して投資等を行う場合に、事前届出が必要となります。投資等とは、外国投資家が行う外為法第26条第2項、直投令第2条第16項第1号ないし第7号に定められている取引または行為をいいます(Q&A1)。

事前届出の必要な投資等
・上場会社の1%以上の株式取得
・非上場会社の株式取得(1株~)※端株の取得も含む
・外国投資家又はその関係者の取締役・監査役の就任への同意
・指定業種に属する事業の譲渡・廃止の提案・同意 等


・上場会社の株式を10%まで買い増す場合
・外国投資家自ら又はその関係者が役員に就任することについて株主総会において同意する場合
・外国投資家が事業継承する場合 等

5.事前届出の提出義務

事前届出の義務は外国投資家にあるため、株式発行会社は特に義務はありませんが、仮に外国投資家が無届で出資を行った場合で、国の安全等の観点で問題がある場合には、株式売却を含む命令が行われる可能性があります。

ですので、もし外国投資家から出資等を受ける際には、外国投資家に事前届出の提出義務があることを伝える必要があります。

6.事前届出免除制度

*2に記載のとおり、①「コア業種」など国の安全を損なう等のおそれが大きいもの以外の投資であって、②一定の基準(免除基準)の遵守を前提として、株式等の取得時の事前届出を行う義務を解除する事前届出免除制度があります。

免除基準が設けられており、この条件をクリアすると、免除を受けることができます。

事前届出免除制度の利用が認められないにもかかわらず免除制度を利用した場合、さらに故意での無届の場合には罰則適用可能性もありますので、注意が必要です。

免除制度に関するリンク:
経済産業省貿易経済協力局国際投資管理室「対内直接投資審査制度について」pp.15-18
令和3年11月16日財務省国際局「対内直接投資審査制度について」関税・外国為替等審議会外国為替等分科会資料4pp.14-16

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参考

外国為替及び外国貿易法
対内直接投資等に関する政令
経済産業省「外国為替及び外国貿易法(外為法)について」
令和5年4月日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループ「外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編)」
令和元年8月22日財務省国際局「対内直接投資審査制度について」関税・外国為替等審議会外国為替等分科会資料6

 

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