コラム

資金決済法/資金移動業

第三種資金移動業者とは?メリット・デメリットを解説

はじめに

2021年5月に施行された改正資金決済法(以下「資金決済法」といいます。)により、資金移動業について、第一種資金移動業、第二種資金移動業及び第三種資金移動業の3類型が創設されました。このうち、第三種資金移動業は、少額送金を取り扱う類型となります。
それでは、「第三種」は、以前の資金移動業(現在の第二種)と比べて、サービス提供者にとって、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

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「第三種」で取引可能な上限額

「第三種」は「資金移動業のうち、特に少額として政令で定める額以下の資金の移動に係る為替取引のみを業として営むことをいう。」(資金決済法36条の2第3項)とされています。そして、この「特に少額」とは、5万円を指します(施行令12条の2第2項)。よって、「第三種」は、5万円以下の為替取引のみが可能な類型です。以前の資金移動業が100万円以下であることに比べると、取引可能額が大幅に制限されています。
もっとも、金融庁の説明資料によれば、資金移動業者が行う取引では、件数ベースで5万円未満の送金が約9割、アカウント残高も5万円未満が9割以上とのことです。
よって、取引可能額は制限されていますが、その中で可能な取引は十分あるといえます。

金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案説明資料2020年3月 金融庁 8ページ

「第三種」のメリット

「第三種」の最大のメリットは、要履行保証額の保全規制が緩和されたことです。
以前の資金移動業では、要履行保証額(送金途中の額+還付手続費用(1億円以下なら送金途中の額の5%)以上の金額を供託等しなければならず、最低でも1,000万円を供託等しなければなりませんでした。
これに対して、「第三種」では、要履行保証額の全部または一部を預貯金等を分別管理するで供託等に代替することができるようになりました。そして、預貯金等で代替する割合が100%であれば、最低1,000万円の供託等の義務もありません(施行令14条2号)。ただし、この場合には、利用者に対して、必要な情報を提供しなければなりません(内閣府令第 29条の2第4号)。
このように、「第三種」では、「最低でも1,000万円の供託等」というハードルがなくなり、事業のサイズにあったスタートが可能となります。

第三種のデメリット

取引可能額が5万円以下に制限されていることの他、重要な点としては、預貯金等管理の方法による管理を行う場合、その状況について、毎年1回以上、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならないことが挙げられます(法第45条の2第2項、内閣府令第21条の5)。

おわりに

以上のように、外部監査が必要となる点はあるものの、予定するサービスが5万円以下の送金で足りる場合は、最低供託額1000万円の免除を受けられる点で、「第三種」は有力な選択肢となります。

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