コラム

障害学生支援

発達障害・LD・ADHD学生への大学支援の実践

はじめに
近年、発達障害や学習障害(LD)、ADHDなどの診断を受けた学生が増加し、大学には多様な学びのニーズに応じた「合理的配慮」の提供が求められています。各大学は、それぞれの体制の中で支援を模索しながら、学生一人ひとりの状況に即した対応を行っています。

このテーマについて相談する

支援内容
支援内容は、講義中の録音許可やタブレット端末の使用、試験時間の延長や別室受験、レジュメの事前提供など、学習上の配慮が中心です。
また、履修方法や学習方法の個別指導、対人関係や自己管理に関する社会的スキル指導、進路・就職支援など、学業のみならず大学生活全般にわたる支援が実施されています。
とりわけ、ADHDの学生に対しては、定期的な面談やスケジュール管理の指導が効果を上げており、生活リズムや就学意欲の改善につながっているという報告もあります。

大学での支援の難しさ
一方で、支援の限界と課題も明らかになってきています。
高校時代に受けていた支援を大学でそのまま再現することは難しく、個別対応の範囲や「過重な負担」の線引きに苦慮する事例も見られます。
支援を希望する学生や保護者との間で期待のずれが生じた結果、学業意欲を失い中途退学に至ったケースもある。
合理的配慮の実現には、大学と学生・保護者双方の対話を通じた「建設的対話」が不可欠です。

また、申請者が本人か保護者かによって対応の進め方が大きく異なる点も特徴的です。
本人が支援を求める場合は比較的スムーズに調整が進むが、保護者が学生に障害を告知していないケースでは、大学としての関与範囲が制限されます。
プライバシー保護や自己決定の尊重といった観点からも、支援体制の整備には慎重な対応が求められます。

おわりに
今後、大学には、専門家・教員・事務職員・保護者が協働し、個々の学生の特性に応じた支援を継続的に提供できる体制の強化が求められます。
合理的配慮を「義務」として捉えるだけでなく、教育機関としての社会的責務として位置づけ、学生の可能性を最大限に引き出すための実践が期待されます。

当事務所では、経験豊富な弁護士が学校と学生・生徒との建設的対話に関与することで、双方にとってより良い結果を導くことを目的とするサービスを提供しています。お気軽にご相談ください。
障害学生支援のページはこちら

このテーマについて相談する

PAGE TOP