はじめに
建造物が著作物性を有する場合、その外観を写真撮影し、さらにその写真をインターネット上に掲載する行為は、原則として著作権者の複製権および公衆送信権の侵害となります。
もっとも、著作権の保護期間(原則として著作者の死後70年)が経過している場合は、著作権が消滅しているため、写真撮影や掲載は自由に行うことができます
著作権法46条とは
建築物が著作物に該当する場合でも、建築物の写真撮影やその写真のブログ・ウェブサイトへの掲載は、著作権法46条により、複製権侵害にはなりません。
ただし、美術の著作物でもあるような建築物の場合、専ら複製物の販売を目的として写真を撮影し、その写真を販売する行為(例:写真データとして販売する)は著作権侵害となる可能性があります(46条4号)。
また、建築物の設計図は別途「図形の著作物」として保護されており、設計図の無断複製は著作権侵害となります。
SNSへの掲載等
個人的に楽しむために歴史的建造物の写真を撮影し、自分の部屋に飾ったり、パソコンの壁紙に設定したりする場合は、私的使用の範囲内であれば著作権侵害にはなりません。
しかし、インターネット上に公開する場合は私的使用の範囲を超えるため、著作権侵害となる可能性があります。
ただし、建築物の写真撮影と公開については前述の通り、著作権法46条により原則として自由です。
管理権限との関係
著作権侵害になるか、という観点とは別に、撮影について敷地の管理権限との関係も問題になります。
建造物の敷地が私有地であり、撮影禁止の掲示がある場合、それに反して撮影した写真を販売する行為は、不法行為や契約違反(民法709条等)となる可能性があります。
まとめ
建造物の写真撮影やその写真の公開は、建築物が著作物であっても、著作権法46条により原則として著作権侵害にはなりません。
ただし、営利目的で複製物を販売する場合や、美術の著作物としての側面が強い建築物の場合は、著作権侵害となる可能性があるため注意が必要です。
著作権の保護期間が満了している場合は、自由に利用できます。
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