コラム

インターネットと個人情報

受託した個人データについて開示請求を受けた場合について

はじめに、法第33条第1項に「本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの電磁的記録の提供による方法その他の個人情報保護委員会規則で定める方法による開示を請求することができる」と定められており、顧客から本人が識別される保有個人データの開示(存在しないときにはその旨を知らせることを含む。)を求められた場合、原則として、事業者は、本人に対し、遅滞なく開示しなければなりません。
*「個人データの開示請求を受けた際の対応について」の記事はこちらをご覧ください。

では、受託事業者が取り扱った個人データについて本人から開示請求を受けた場合、受託事業者はその請求に応えなければならないのでしょうか。

(業務委託を通じて委託先が個人データを利用できるか、についてはこちらをご覧ください。)

委託先の保有する個人データを利用する目的の業務委託は、法27条第5項第1号の「委託」に含まれないと解されます。よって、他社の保有する個人データを利用するのであれば、個人データの第三者提供又は匿名加工情報としての提供の可能性を検討することが考えられます。

個人データの取扱いが委託される場合、特に定めのない限り、委託元の保有個人データになると考えられますが、具体的には個別の事例ごとに判断することとなります。
委託元が、個人データを受託処理する個人情報取扱事業者である委託先に対し、自らの判断で当該個人データの開示等を行う権限を付与していないとき(委託元・委託先間で何ら取決めがなく委託先が自らの判断で開示等をすることができない場合も含む。)は、本人に対する開示等の権限を有しているのは委託元であるため、当該個人データは委託元の「保有個人データ」となります(「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A 1-56)。

したがって、一般的に受託者が取り扱う個人データは「保有個人データ」に該当せず、受託事業者が本人から開示請求を受けた場合にはその要求に応える義務はないと考えられます。

ただし、仮に本人から開示請求を受けた場合には、委託者に対して開示請求をするように本人に対して案内することが望ましいと考えられます。
弊所では開示請求に関するご相談やご依頼も多数お受けしておりますので、ご気軽にお問合せください。
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