コラム

資金決済法/資金移動業

ハイリスク取引の取引時確認について

はじめに
資金移動業者には、犯罪収益移転防止法により「取引時確認」の義務が課せられています。
中でも、いわゆる「ハイリスク取引」に該当する取引に際しては、厳格な取引時確認を行わなければなりません(犯収法4条2項)。
よって、本コラムでは、「ハイリスク取引」の際の厳格な取引時確認の方法等を解説します。
取引時確認については、以下のコラムでも説明していますので、ご参照ください。
・資金移動業と犯罪収益移転防止法による本人確認義務等
・資金移動業者の取引時確認義務の法的根拠について

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ハイリスク取引とは
ハイリスク取引とは、以下の4つのいずれかに該当する取引をいいます(同法4条2項、同施行令12条)
1)なりすましの疑いがある取引(同法4条2項1号イ、同施行令12条1項1号)
2)届出事項等を偽っていた疑いがある顧客との取引(同法4条2項1号ロ、同施行令12条1項2号)
3)ハイリスク国(イラン、北朝鮮)の居住者との取引(同法4条2項2号、同施行令12条2項)
4)外国PEPsとの取引(同法4条2項2号、同施行令12条3項)

厳格な取引時確認とは
ハイリスク取引を行う際には、厳格な取引時確認として、顧客等に対して以下の2つを確認する必要があります。
1)再度の取引時確認(なりすまし/偽りの場合は、当初とは別の方法で確認する必要有)
2)資産及び収入の状況(200万円を超える取引の際に限る(施行令11条))

1)の再度の取引時確認のうち、実質的支配者の確認方法については、通常の取引時確認が「申告を受ける方法」(施行規則11条1項)で行われるのに対し、「書類又はその写しを確認し、かつ、申告を受ける方法」(同規則14条3項)と加重されているため、注意する必要があります。
2)の資産及び収入の状況確認は、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である又は顧客等が当該取引に関して組織犯罪等を行っているとして、行政庁に届出を行うべき場合に該当するか否かの判断に必要な限度で行えば足ります(法4条2項第二文、8条1項ないし2項)。
資産及び収入の状況確認は、源泉徴収票や貸借対照表を確認することにより行われます(施行規則14条4項)

おわりに
このように、厳格な取引時確認については、通常の取引時確認とは異なるルールが設けられているため、注意が必要です。
弊所では、犯罪収益移転防止法に関するご相談やご依頼もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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