はじめに
新たな広告手法としてのコンテンツマーケティングが普及してきています。中でも、スポンサードコンテンツとは、広告主がスポンサーとなり、媒体社に編集権限があって制作されるコンテンツです。
スポンサードコンテンツは、通常のコンテンツに見える一方で、広告主であるスポンサーの意向が反映されている場合があり、ケースによっては「ステマ」(ステルスマーケティング)と見なされてしまうおそれがあります。
それでは、スポンサードコンテンツを制作・公開するとき、ステマにならないために、にどのような点に注意すべきでしょうか。
景品表示法の優良誤認
広告主が媒体社に依頼して、商品・サービスなどを、実際よりも著しく優良であると一般消費者に誤認させるようなコンテンツを制作し、表示した場合には、景品表示法上の優良誤認にあたる可能性があります。 この点については、平成24年5月9日付の消費者庁の「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の第2・2「口コミサイト」のブログ事業者に関する記載が参考になります。
具体的には、媒体社に編集権限があるとはいえ、実際にはない品質や利点を宣伝したり、根拠のない効果を表示しないように注意する必要があります。
関係性の明示
口コミ広告に関する団体として、WOMマーケティング協議会(WOMJ)があります。この団体は、2009年(平成21年)7月、WOMマーケティング(クチコミに関するあらゆるマーケティング活動)業界の健全なる育成と啓発に寄与するため発足したもので、電通やUUUMも所属しています。
この団体が公表している「WOMマーケティングに関するガイドライン」では、次のように定めています。
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VI.関係性明示
1.情報発信者に対し、WOMマーケティングを目的とした、重要な金銭・物品・サービス等の提供が行われる場合、マーケティング主体と情報発信者の間には「関係性がある」と定める。関係性がある場合には、その関係性は情報受信者が容易に理解できる方法で明示されるべきである。
2.関係性がある場合には、情報発信者に対し原則として関係性明示を義務付けなければならない。義務付けることが極めて難しい合理的な理由がある場合には義務付けなくてもよいが、その場合でも関係性が明示されるよう最大限の努力を行わねばならない。
3.関係性の明示の際には、WOMマーケティングのマーケティング主体の名称と、情報発信者への金銭・物品・サービス等の提供の有無は示されるべきである。金銭・物品・サービス等の提供の内容についても、詳細に示されることが望ましい。
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このガイドラインは、会員以外にとっては守ることが義務付けられたものではありませんが、広告の健全性のため、これに準じた対応をすることが望まれます。
よって、スポンサードコンテンツを公開する場合には、適切な方法で、スポンサーとの関係性を明示しておくことが重要です。
UUUMのガイドライン
「スポンサーとの関係性の明示」という点に関しては、UUUM が2019年09月25日付けで「UUUMにおける動画タイアップに関する「提供表示ガイドライン」の改定について」を公開しており、「提供」や「ふた絵」の表示方法を定めているため、実務上参考になります。
おわりに
このように、スポンサードコンテンツを公開する際には、法令に違反したり、ステマとの評価を受けないために、事実と異なる内容を伝えないことは勿論、スポンサーとの関係について適切に明示する必要があります。
記事内容の適否や、関係性明示の方法については、ある程度ケースバイケースの判断ともなりますので、迷う場合には専門家へご相談ください。