法務のアウトソーシングとは?
法務のアウトソーシングとは、社内の法務を業務委託することです。
委託業務の範囲は、契約書の作成・レビューといった契約法務から株主総会対応まで多岐にわたります。
また、社内の他の法務部員とともに、法務部員1人分または0・5人分といった、派遣社員に近いかたちで委託する場合もあります。
このように「法務のアウトソーシング」といっても、その内容はニーズに応じて様々です。
なお、弁護士以外が法務業務を受託することが弁護士法に違反する可能性があるため、委託先は弁護士・法律事務所であることが前提となります。
法務のアウトソーシングが有効な場面や企業とは?
(1)法務人材の採用が難航している
法務は専門性が高く、知識と経験をもった人材でないと対応できません。
もっとも、近年、人材の採用一般が困難なことに加えて、スキルをもった法務人材は希少性が高く、適切な法務人材の採用は極めて困難です。
また、採用した法務人材が定着しない、期待したほどのスキルがない、または会社のカルチャーとフィットしないといったことも少なくありません。
このような法務人材の採用が難航している場面で、法務のアウトソーシング(業務委託)は非常に有効です。
(2)専任の法務部員を雇用するほどのニーズはない
企業の業態やフェイズによっては、専任の法務部員を1人雇用するほどの業務量がない場合もあります。
他方で、法務は専門性が高く、総務や人事の担当者に兼任させることにはリスクが伴います。
このような専任の法務部員を雇用するほどのニーズはない企業で、法務のアウトソーシング(業務委託)は非常に有効です。
(3)法務部門を強化したい
既に法務部門はあるが、これを強化していきたい場合にも法務のアウトソーシング(業務委託)は非常に有効です。
経験豊富な弁護士たちと協力して法務業務を進めていくことで、社内で法務の知識・経験が蓄積されるとともに、法務部員の育成にも役立ちます。
法律顧問契約との違いは?
法務のアウトソーシングと法律顧問契約との違いはケースバイケースですが、共通するのは「距離の近さ」です。
法務のアウトソーシングでは、slackなどのツールで常時連絡を取り合ったり、弁護士が定期的に常駐することが一般的です。
このため、感覚的には、社内の法務部門又は法務部員の1人に近いかたちで稼動します。
この点が、一般的な法律顧問契約と最も異なる点といえます。
どのような法律事務所・弁護士を選べばよい?
自社のニーズとの関係で、以下のような点に着目して法律事務所・弁護士を選ぶことが望ましいと考えます。
(1)委託先の「顔」が見えるか
社内の一部門(一員)として機能してもらうためには、自社の事情を十分に把握してもらうことが非常に重要です。
「多数のメンバーが入れ替わりに対応する」という体制ですと、相談の都度、社内事情から説明しなければならず、非効率です。
また、そのような体制ですと、担当者によって方針や回答内容がまちまちになってしまうなどの不都合が生じます。
よって、対応チームや窓口が固定していたり、責任者である弁護士が常に状況を把握しているなど、委託先の「顔」が見えることが非常に重要です。
(2)企業での勤務経験があるか
社内の一部門(一員)として機能してもらうためには、コミュニケーション能力が高いことが重要です。
他の社員とフラットにコミュニケーションをとることができなければ、アウトソーシングの利点である「距離の近さ」が生かせません。
この点、企業での勤務経験がある弁護士であれば、そのような心配がなく、「距離の近さ」を十分に生かすことができます。
おわりに
このように、法務のアウトソーシングは、コスト削減手段や、外注による業務効率化策に留まらず、企業の成長や変化に柔軟に対応し、法的リスクを最小限に抑えながら、持続的な発展を支える戦略的な選択肢です。
本コラムでは、法務のアウトソーシングの概要から、その有効性が発揮される具体的な場面、法律顧問契約との違い、さらには適切な委託先を選定する際の視点までを網羅的に解説しました。とりわけ重要なのは、「誰に、どのように」依頼するかという点です。法務は会社の根幹に関わる分野であり、信頼と連携を前提としたパートナーシップが欠かせません。
渋谷ライツ法律事務所では、企業での勤務経験のある弁護士が全件窓口として担当する「顔の見える」アウトソーシングを提供していますので、ぜひご検討ください。
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