再委託承諾書とは?
再委託承諾書は、業務委託契約において受託者が第三者に業務の全部または一部を再委託する際、委託者の事前の承諾を得るために作成される書面です。
業務委託契約書で、「再委託には事前承諾が必要」とされている場合には、再委託する際に必ず必要となります。
委託者が知らない第三者が業務に関与することで、情報漏洩や品質低下などのリスクが高まるため、再委託の可否や条件を明確にし、リスク管理を徹底することが主な目的です。
特に個人情報や機密情報を取り扱う場合、再委託先の選定や管理体制の確認が重要となります。
再委託承諾書に記載すべき主な内容
再委託承諾書には、主に以下のような内容を記載します。
・再委託先の情報
再委託先の名称、所在地、業務内容、再委託理由、再委託先の管理体制や安全対策などを記載し、委託者が十分に把握できるようにします。
・再委託先への義務付け
受託者が再委託先と本契約と同等の内容の契約を締結し、秘密保持義務や安全管理措置などを再委託先にも課すことを明記します。
・再々委託の可否と手続き
再委託先がさらに再委託(再々委託)を行う場合にも、委託者および受託者の事前の書面による承諾を要する旨を規定します。
・責任の所在
再委託が行われた場合でも、受託者が自ら業務を履行した場合と同様の責任を負うことを明記します。
・監督・報告義務
受託者が再委託先の業務履行状況を監督し、必要に応じて委託者に報告する義務を定めます。
実務上の留意点
再委託の可否や範囲、手続きについては、契約書や承諾書に明確に記載し、曖昧さを残さないことが重要です。
また、個人情報や特定個人情報(マイナンバー)を含む場合は、法令やガイドラインに従い、再委託の条件や安全管理措置を厳格に定める必要があります。
この他、再委託先の監督や定期的な監査、報告義務など、実効性のある管理体制を構築することが求められます。
まとめ
再委託承諾書は、委託業務の品質や情報セキュリティを確保し、リスクを最小限に抑えるための重要な書面です。再委託の可否や条件、手続き、責任の所在などを明確に定め、委託者・受託者双方の信頼関係と法令遵守を担保する役割を果たします。
後記のとおり、書面例をお示ししますので、アレンジのうえご自由にご利用ください。
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再委託承諾書の例は以下のとおりです。
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再委託承諾書
委託者(以下「甲」という。)と受託者(以下「乙」という。)との間で締結された以下の業務委託契約(以下「本契約」という。)に基づき、乙が当該業務の一部を第三者に再委託することについて、甲は以下の条件のもとに承諾する。
第1条(業務委託契約の内容)
契約名:〇〇業務委託契約
契約締結日:〇年〇月〇日
契約当事者:甲 〇〇株式会社
乙 〇〇株式会社
第2条(再委託先)
再委託先の名称:〇〇〇〇(以下「丙」という。)
所在地:
再委託業務の内容:本契約に基づく業務のうち、次の業務(以下「再委託業務」という。)
・〇〇〇〇
・〇〇〇〇
第3条(再委託に関する条件)
1.乙は丙との間で、機密保持義務、成果物の帰属、再委託の再委託禁止など、本契約において乙が甲に対して負う義務と同等の義務を丙に課すものとする。
2.乙は、再委託によって生じるいかなる事由についても、甲に対して責任を負うものとし、再委託により甲の権利義務が変更されることはないものとする。
3.乙は、再委託先の選定・管理に十分な注意義務を負うものとする。
以上、甲および乙は、上記の内容に合意し、本書2通を作成のうえ各自記名押印し、各1通を保有する。
令和〇年〇月〇日
【甲】
【乙】