ウェブサイトには、通常、利用規約がありますが、その取扱いについては、ウェブサイトのトップページにリンクが貼られているだけのものから、利用規約に「同意しました」欄にチェックしなければサービスを受けられないものまで様々です。
他方で、利用規約に法的拘束力をもたせたいのであれば、原則として、利用規約への同意を求めることは必要です。なぜなら、「チェック」は、契約書でいえば「署名」や「押印」と同じものですので、このようなユーザーの意思表示が無い場合には、利用規約に基づく法律関係が成立したということは非常に難しいからです。
もっとも、「同意しました」のチェックボックスをクリックさせたからといって、大丈夫とは限りません。
先ほどの、契約書との比較でいえば、チェックボックスをクリックすることは、契約書に署名したり、印鑑を押すことに比べ、気軽に行ってしまう行為であることは否めません。このため、後にトラブルになった際に、「利用規約は読んでなかった」「内容を理解していなかった」「同意したつもりはなかった」などと主張されてしまう可能性があるからです。
このため、利用規約への同意を取得する際には、ユーザーに利用規約をきちんと読んでもらい、これに同意した人だけがサービスを利用できるような仕組みにしておくことが重要です。
例えば、規約のリンクを貼ってあるだけよりも、規約全文をスクロールしなければチェックボックスに辿りつかないようにしてある方が、「読んでなかった」と主張されるリスクは減少します。
また、利用規約自体も、長大で難解なものよりも、要点をまとめたコンパクトなもので、平易な文章で記載されている方が「理解していなかった」と主張されるリスクは減少します。
この他、オプトアウト(同意しない人がクリックする)方式で同意を取得する場合よりも、オプトイン(同意する人がクリックする)方式で同意を取得した方が、「同意したつもりはなかった」と主張されるリスクは減少します。
このように、「同意」への手間をかけるほどリスクは減少しますが、当然、手間をかけるほど、コンバージョンの点からはマイナスです。
このため、現実的には、必ずしも、最もリスクの小さい手段を採れるわけではなく、サービスの内容やウェブサイトの構成を考え、最もバランスの良い手段を選ぶことが必要になりますので、ご検討ください。
弊所では利用規約に関するご相談やご依頼をお受けしておりますので、ご気軽にお問合せください。