ChatGPTや契約書審査に特化したものなど、AIを契約書や利用規約の審査（レビュー）に利用すれば、法務を非常に効率的に運用できます。
もっとも、便利な一方で限界やリスクもあるため、きちんとリスクと留意点を意識することが必要です。
① AIは「補助」であり「代替」ではない
AIは条文のチェックや論点の洗い出しに非常に役立ちますが、最終判断は必ず人間（法務・弁護士等）が行うべきです。契約リスクの評価や交渉戦略には、文脈・事実関係・ビジネス判断が必要で、これはAIだけでは判断できません。
② 契約の背景や目的をAIが把握していない
AIは契約の「内容」は読めても、その契約の背景・実務運用・当事者関係などの「前提情報」を理解していません。たとえば以下のような判断はAIには困難です
・なぜこの条項が入っているのか（過去のトラブル対策など）
・相手方との力関係（交渉余地の有無）
・このリスクが自社のビジネスにどれほどの影響を与えるか
よって、 前提情報を入力するか、AIの出力を補足・修正する必要があります。
③ 条文の文言の微妙な差異に注意
AIは条文のパターン認識には優れますが、「Aに準じて」と「Aを参照して」など、微妙な文言の違いによる法的効果の違いを誤認することがあります。
④ 重要な抜けや矛盾を見逃すことがある
特に以下のような点はAIも見落としやすいので注意が必要です。
・条項間の整合性（例：定義が未使用、別条項と矛盾）
・契約書の「抜け」（例：解除条項がない、契約期間が不明）
・実務的に無理な内容（例：対応期限が1営業日）
⑤ 生成系AIのハルシネーション（虚偽生成）
AIが条文を作る際、「それっぽいけど誤った条文」を作ることがあります。出典のない情報や解釈は必ず確認が必要です。
⑥ 個人情報や機密情報の取り扱い
クラウド型のAIツールを使う場合は、入力情報が外部に送信されるリスクがあります。契約書の内容が機密情報である場合、社内のルールや契約でAIツールの使用が制限されていないか確認しましょう。
⑦ 生成結果の利用ルール（AIツールの利用規約）を確認
例えば、AIが生成した契約書の条文に著作権が発生するか、商用利用してよいか等について、利用しているAIツールの利用規約やポリシーの確認も重要です。
まとめ：AI契約審査の「ベストプラクティス」
ステップ
1 契約の背景・目的・ビジネスの実態を把握する（人間）
2 AIに条文の初期チェックや比較・要約を依頼
3 AIの出力を人間がチェックし、ビジネス上の観点・交渉上の戦略を加味して判断
4 最終確認・交渉は必ず人間が行う
以上となります。
このコラム自体も、筆者の経験を踏まえつつChatGPTを利用してまとめていますが、非常に分かりやすくできており、近時のAIの能力の高さを実感します。
とはいえ、驚くほどの間違いもするのがAIですので、きちんとAIの得手不得手を理解して利用しましょう。
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