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ペイミーの給与前払いは貸金業にあたる?

はじめに

給与前払いサービスPaymeを展開する株式会社ペイミーは、2018年12月20日、「グレーゾーン解消制度に係る金融庁の回答について」との記事をリリースしました。

これは、Paymeについて「貸金業ではないか」という疑問の声があったため、政府が用意する「グレーゾーン解消制度」を利用して、Paymeが貸金業にあたるかを金融庁に照会し、その回答をえたためです。

それでは、以下では、なぜPaymeに「貸金業ではないか」との疑問が生じ、金融庁がどう回答したのかを解説します。

Paymeとはどのようなサービスか

Paymeのサービス内容については、次のように説明されています。
「企業の勤怠データと連携し、実労働時間から給与計算を行って即日払いを行うサービスです。利用できる金額の上限は、その日までに稼いだ額の70%まで。この金額の範囲であれば、1000円単位でいつでも即日払いを申請できます。」

より具体的な仕組みについては、金融庁への照会の中で次のように説明されています(「照会者」=ペイミーです)。
1)本サービスを導入する企業(以下「導入企業」という。)に代わり、導入企業の従業員の申請に応じて、照会者が、従業員の勤怠実績に応じた賃金相当額を上限とした給与金額を従業員の給与口座に振り込む。

2)導入企業は、従業員に支払われた前払い合計額、銀行振込手数料及び業務委任手数料を照会者に対して支払う(業務委任手数料は、「前払額の一定割合」か「申請件数×固定金額(数百円)」のいずれかの選択制とすることを検討中)。

3)導入企業は、従業員に対する賃金の支払い期日に、本サービスを利用した従業員に対して、前払い合計額、銀行振込手数料及び業務委任手数料を賃金から控除した金額を支払う。

このように、Paymeでは、運営会社(ペイミー)が、このサービスを導入した企業の代わりに、従業員へ賃金を前払い(立替え払い)し、後日、ア)導入企業は前払分+手数料をペイミーに支払、イ)従業員は給料日に賃金ー(前払分+手数料)の支払いを受けることになります。
このように仕組みは、次のような意味で貸し付けともとれるため、疑念が生じていました。
A) 前払分(立替分)について、ペイミーから導入企業へ貸し付けている
B) 前払分について、ペイミーから従業員へ貸し付けている

たしかに、経済的には、A)導入企業から見れば、立て替えを受けている分、借入をしているのと同様であり、B)従業員から見れば、前払いを受けた分、借入をしているのと同様といえるため、貸金業にあたるのではないかとの疑問が生じます。

金融庁の回答

金融庁は、次のような理由付けで、Paymeが貸金業にはあたらないと回答しました。

・貸金業法の目的は、貸金業を営む者の業務の適切な運営の確保、資金需要者の利益の保護であり、仮に契約形態が委任契約であっても、実質的に「貸付け」行為に該当し、貸金業に該当すると整理すべき場合もあるが、
(ア)本サービスは従業員の勤怠実績に応じた賃金相当額を上限とした給与支払日までの極めて短期間の給与の前払いの立替えであって、
(イ)導入企業の支払い能力を補完するための資金の立替えを行っているものではなく、
(ウ)手数料についても導入企業の信用力によらず一定に決められている
との前提の下では、導入企業又は従業員に対する信用供与とは言えず、また、導入企業においても、信用供与を期待しているとまでは言えないことから、貸金業法上の「貸付け」行為に該当せず、貸金業に該当しないものと考えられる。

このように、Paymeについて、上限が賃金額であることや、立て替え期間の短さ、また手数料が一定であることなどから、信用供与とまではいえず、貸し付けにあたらないとしました。
もっとも、次のような場合には、実質的には貸金にあたるとしています。

・ただし、照会者の行為が、従業員又は導入企業に対して、導入企業の支払い能力を補完するための資金の立替えとなっている、又は手数料については導入企業の信用力によらず一定ではないなど、上記前提と相違し、実質的には貸付けを行っていると認められる場合には、導入企業又は従業員に対する金銭の貸付けに該当し、貸金業法第2条第1項に規定する貸金業に該当する可能性が高いと考えられる。

おわりに

このように、Paymeは貸金業にあたらないと評価されましたが、判断は相当程度実態に踏み込んだもので、形式的(法律構成として)だけではなく、実質的にも「貸付け」にあたらないことが求められます。
よって、同種のサービスを提供する場合には、この「実質」部分にもきちんと配慮し、適切な制度を構築する必要がありますので、ご注意ください。