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仮想通貨と改正資金決済法

仮想通貨と改正資金決済法

平成29年10月2日、改正資金決済法施行後初めてとなる仮想通貨交換業者の登録がなされました。登録を受けたのは仮想通貨取引所11社で、現在(平成29年10月5日時点)、仮想通貨交換業ができるのは、この11社、及び改正資金決済法施行以前から事業を行っていた一部の事業者のみということになります(*1)。

このコラムでは、この登録の根拠となった改正資金決済法について、改めてその基本的な内容を見ていきたいと思います。

 

*1 仮想通貨交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者だけが行うことができるものです(資金決済法(以下、「法」という。63条の2)。もっとも、この資金決済法の改正に伴う経過措置により、改正資金決済法施行(平成29年4月1日)より前に仮想通貨交換業を行っていた者であって当該施行日から起算して6か月以内に登録の申請をした者も、この申請につき登録または拒否の処分があるまで、仮想通貨交換業を行うことが可能となっています(情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律第8条)。

仮想通貨とは

平成29年4月1日に施行された改正資金決済法は、仮想通貨に関する規制等を盛り込んだものでした。しかしそもそも、この規制の対象となる仮想通貨とは何を指すのでしょうか。

法によれば、仮想通貨とは、以下の「一号通貨」または「二号通貨」にあたるものをいうとされています。

 

①「一号通貨」(法2条5項1号)

.物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、

(→不特定の者に対して使用することができる、とは、例えばポイントのように加盟店のみで使用できるなどの制限がなく、広く誰に対しても使用できることを言います。)

ⅱ.不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、

(→不特定多数の者を相手方として購入及び売却を行うことができる、とは、制限を受けずに日本円又は外国通貨等と交換ができることを言います。また、本邦通貨及び海外通貨並びに通貨建資産を除く、とは、電子的方法によって記録されているが円や外国通貨等であるもの、すなわち電子マネー等を除外するための規定です。)

ⅲ.電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

②「二号通貨」(法2条5項2号)

ⅰ.不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、

(→一定の会員であることなどの制限なく、広く誰とでも一号通貨との交換ができることを言います。)

ⅱ.電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

上記の文字だけではなかなかわかりにくいところがあるのですが、基本的には、電子的なデータとしてのみ存在する、独立の通貨のようなイメージです。現実の独立の通貨と同様に、仮想通貨もリアルタイムでその相場を変動させていきます。なお、現在流通している有名なものとしては、ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、リップル(Ripple)、ライトコイン(Litecion)などが挙げられます。

仮想通貨を取り扱う業者に対する規制

仮想通貨に関する規定は、資金決済法の3章の2にあります。この規定のうち、特に重要であるのは以下の3点です。

①仮想通貨交換業(*2)を行う者の登録制の導入

②説明義務、利用者財産と仮想通貨交換業者の財産の分別管理義務、または紛争解決機関との契約締結義務等、利用者保護のための仮想通貨交換業者に対する義務の明文化

③仮想通貨交換業者に対する帳簿書類及び報告書の作成等義務ならびに国による立入検査、業務改善命令及び登録取消し等の、国による監督体制の明文化

 

まず、資金決済法は、上記①のように、仮想通貨交換業を行う者について登録制を導入しました。これにより、原則的には登録を受けた者のみが仮想通貨交換業を行うことができることになります。登録を受けるためには財政的基盤(*3)を設けるなどの各条件を備える必要があります。このような登録制を設けることにより、仮想通貨交換業に参入する段階で国による一定のスクリーニングが行われることになり、また、事業開始後についても、仮想通貨交換業が国の一定の監視のもとに行われることになります。なお、登録を受けないで仮想通貨交換業を行った者には罰則が科されることになります(法107条5号)。

また法は、②のように、利用者保護のため仮想通貨交換業者に対し各種の義務を規定しています。例えば仮想通貨交換業者は、利用者財産につき、利用者財産であることを名義上明らかにしたうえで、銀行等に預金または貯金する等して管理することや、これら管理状況について公認会計士等に監査を受けることが義務付けられています(*4)。

さらに法は、③のように、仮想通貨交換業者が登録拒否事由に該当するに至ったり(法63条の17第1号)、本法の規定、命令又はこれらに基づく処分に反した場合(同条3号)等には、登録の取消し又は事業の停止があり得る旨定めています。このように仮想通貨交換業者に対する義務等の遵守は担保されており、利用者の保護が図られているものといえます。

 

*2 仮想通貨交換業とは、仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換(法2条7項1号)、この行為の媒介、取次ぎ又は代理(同2号)、その行う仮想通貨の販売、交換ならびにこの行為の媒介、取次ぎ又は代理に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること(同3号)をいいます。

 

*3 これについては、法63条の5第1項3号、仮想通貨交換業者に関する内閣府令(以下、「令」と言います。)9条に定めがあります。令では、資本金の額が1000万円以上であること(同条1号)、及び純資産額が負の値でないこと(同条2号)が定められています。

 

*4 これについては、法63条の11第1項、令20条1項、法63条の11第2項に定められています。

おわりに

今回、仮想通貨交換業者11社が登録となったものの、同じく登録の申請をしていた17社については審査継続となり、また、これまでに12社の業者が廃業するに至っています。仮想通貨をめぐる状況についてはこれからも変化していくものと思われ、国がこれに対しどのように対応していくか注目がされるところです。