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ヘルスケアアプリと薬機法

ヘルスケアへの関心の高まり

厚生省の調査によれば、2015年の日本人の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳であり、過去最高を記録しました。
一方、健康寿命と平均寿命には少なからず乖離があり、健康に対して高い関心を持つ方が少なくありません。
本コラムでは、健康管理等に役立つヘルスケアアプリを開発する際に関係する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、いわゆる「薬機法」について触れさせていただきます。

いわゆる「薬機法」について

まずこの法律は、「医薬品」や「化粧品」等、人の健康に関わるものを対象としており、今回問題になっているヘルスケアアプリは同法2条第4項の「医療機器」にあたり得ます。
そして、開発しようとしているヘルスケアアプリが「医療機器」にあたる場合には、製造、また販売に先立って、
①医療機器製造販売業許可(法23条の2)
②医療機器製造業登録(法23条の2の3、法23条の2の4)
③ⅰ.大臣による「承認」(法23条の2の5)
または
ⅱ.民間の第三者認証機関による「認証」(法23条の2の23)
または
ⅲ.「届出」(法23条の2の12)
の大きく分けて3つの手続が必要となります。

アプリの種類に応じた手続

そして、①と③については、当該アプリの種類に応じて必要な許可、手続が異なり、以下のように整理されます。

アプリの種類 許可の種類 規制の種類
高度管理医療機器 第一種医療機器等製造販売業許可 承認または認証
管理医療機器 第二種医療機器等販売製造業許可 承認または認証
一般医療機器 第三種医療機器等製造販売業許可 届出

ヘルスケアアプリは医療機器にあたるか

もっとも、すべてのヘルスケアアプリが「医療機器」にあたるわけではありません。
以下では例として、体重や、睡眠時間、一日の歩数、血圧等を記録し、グラフ化するアプリを製造、販売する場合を考えます。

薬機法上の定義によれば、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている」アプリのうち、「再生医療等製品を除く」もので「政令で定めるもの」、が「医療機器」にあたるヘルスケアアプリになります(薬機法2条第4項参照)。
そして、この政令には別表がつけられており、「医療機器」にあたる「プログラム」(アプリはここに含まれます。)の種類が列挙されているのですが、今回具体的に開発しようとしているヘルスケアアプリがここに挙げられているものにあたるのかは必ずしも明らかではありません。

厚労省の「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」

そこで、厚生労働省が公開している「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/261114.pdf) を参照すると、以下の種のプログラムにつき具体例が挙げられています。

まず、「医療機器」に該当する「プログラム」として、
1) 医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるため
の指標、画像、グラフ等を作成するプログラム
2) 治療計画・方法の決定を支援するためのプログラム(シミュレーションを含む)

次に「医療機器」に該当しない「プログラム」として、
1) 医療機器で取得したデータを、診療記録として用いるために転送、保管、表示を行うプ
ログラム
2) データ(画像は除く)を加工・処理するためのプログラム(診断に用いるものを除く)
3) 教育用プログラム
4) 患者説明用プログラム
5) メンテナンス用プログラム
6) 院内業務支援プログラム
7) 健康管理用プログラム
8) 一般医療機器(機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの)に相当するプログラム(新施行令により、医療機器の範囲から除外されるもの)
の具体例がそれぞれ示されています。

「考え方」からみたヘルスケアアプリの医療機器該当性

そもそもヘルスケアアプリが「医療機器」にあたるかは、上記「考え方」によれば
(1)プログラム医療機器により得られた結果の重要性に鑑みて疾病の治療、診断等にどの程度寄与するのか。
(2)プログラム医療機器の機能の障害等が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれ(不具合があった場合のリスク)を含めた総合的なリスクの蓋然性がどの程度あるか。
の2点から判断されることになっています。
上記の具体例をみると、ヘルスケアアプリとして比較的連想しやすい体重記録アプリや万歩計アプリは、これら2点の程度が高くないために「医療機器」にあたらないものとして、「健康管理用プログラム」に分類されていることがわかります。
そして、今回例にとった、体重や、睡眠時間、一日の歩数、血圧等を記録し、グラフ化するアプリも日常的な健康管理のためのものにとどまるのであれば「健康管理用プログラム」として「医療機器」には該当しないことになります。
もっとも、たとえば血圧等が専用の測定器から送信されるデータで、のこれらのデータをもとに独自の判断基準で導き出した疾病の診断などが表示されるのであれば、「医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム」として「医療機器」にあたることとなってきます。

おわりに

多くの方がスマートフォンを利用し、ウェアラブル端末も多数登場する中、スマートフォンのアプリで健康管理をしたいと考える方はこれから増えていくものと考えます。
開発しようとするヘルスケアアプリが「医療機器」にあたる場合は多数の手続が必要となりますので、開発にあたってはこの点を調査することが重要です。