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ユーザに代金請求できる「開発完了」時の判断基準

システム開発の完了を巡るトラブル

システム開発で頻発するトラブルの一つとして、プロジェクトの終盤において、受注者(開発者)が、システム開発が完了したとして代金を請求したのに対し、発注者が、未完成であると主張して代金支払いを拒むというものがあります。

このような、システム開発が完了したか否かをめぐる裁判では、次の裁判例(東京地判平成14年 4月22日)のように、「最終工程基準」が用いられることが多いといえます。

「請負人が仕事を完成させたか否かについては、仕事が当初の請負契約で予定していた最後の工程まで終えているか否かを基準として判断すべきであり、注文者は、請負人が仕事の最後の工程まで終え目的物を引き渡したときには、単に、仕事の目的物に瑕疵があるというだけの理由で請負代金の支払を拒むことはできないものと解するのが相当である。」

裁判例での事実認定

そして、この裁判例では、システム開発が「最終工程」に至ったか否かを、次のように判断しました。

「本件システム開発業務は、大別して、〈1〉要件定義、概要設計、〈2〉詳細設計、〈3〉プログラミング、〈4〉結合テスト、〈5〉検証、総合テスト、〈6〉本稼働、〈7〉ドキュメント作成、提出、〈8〉ネットワーク回線工事、〈9〉データ移行という工程が予定されていたことが認められる。

 証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、前記各工程を終了し、被告に対し、〈1〉平成8年2月8日には財務等に関するシステムを、また、〈2〉同9年7月から8月にかけて墓石等関連プログラムを、〈3〉同10年1月22日及び同月27日並びに同年4月3日にはドキュメントを納品していることが認められる(略)。さらに、被告は、同9年10月から、本件システムを本格稼働させ、同10年10月ころまで使用を継続していることが認められる。

 以上によれば、原告は、本件システムを完成させたと認めるのが相当であり、他にこの判断を左右するに足りる証拠は存在しない。」

裁判例の判断過程

このように、裁判例は、システム開発が完了したか否かを

①いかなる工程が予定されていたか

②各工程が終了したか

③システムが稼働しているか

という判断過程を経て認定しています。これに対し、システムの不具合は、瑕疵の問題として、完了の問題とは区別しています。

このうち、①いかなる工程が予定されていたか、が非常に重要です。予定されていた工程を根拠付ける証拠は契約書に限りませんが、やはり最重要の証拠は契約書となりますので、発注(受注)にあたっては、この点に注意して契約書を作成することが肝要です。

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