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プログラムの著作物性を根拠付ける「個性」とは

プログラムの著作権

著作権法上、プログラムは、「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。」(著作権法2条1項十の二)と定義されています。この「プログラム」が、著作権法による保護をうける著作物になりえることは争いがありません。

ただし、全てのプログラムが著作物として著作権法による保護を受けられるわけではありません。なぜなら、著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(著作権法2条1項1号)と定義されおり、「創作的」である必要があるからです。

「創作性」についての裁判例

「創作的」との要件については、裁判例で次のように表されています。

「創作的に表現したものというためには、当該作品が、厳密な意味で、独創性の発揮されたものであることは必要でないが、作成者の何らかの個性の表現されたものであることが必要である。文章表現に係る作品において、ごく短いものや表現形式に制約があり、他の表現が想定できない場合や、表現が平凡、かつありふれたものである場合には、筆者の個性が現れていないものとして、創作的な表現であると解することはできない。」(東京地方裁判所平成11年1月29日判決)

よって、「創作的」といえるためには、表現に何らかの「個性」が必要となります。
このため、例えば、定型的なプログラムであれば、「個性」を表現することはできませんので、著作物性は認められません。

裁判例の紹介

このような「プログラムの著作物性」が争われた裁判があります(知財高裁平成24年1月25日)。この裁判で、裁判所は、次のように述べて、問題となったプログラムの創作性を否定しました。

「プログラムについては、ソースコードを提出したものの、本件プログラムのいかなる箇所にプログラム制作者の個性が発揮されているのかについて具体的に主張立証しない。

 したがって、(中略)上記命令がどのような機能を有するものか、他に選択可能な挿入箇所や他に選択可能な命令が存在したか否かについてすら、不明であるというほかなく、当該命令部分の存在が、選択の幅がある中から、プログラム制作者が選択したものであり、かつ、それがありふれた表現ではなく、プログラム制作者の個性、すなわち表現上の創作性が発揮されているものであることについて、これを認めるに足りる証拠はないというほかない。」

プログラムの著作物性を立証する手続

このように、裁判所は、プログラムが著作物であると主張する方に、①ソースコードを証拠提出させたうえ、更に②ソースコードのどこに制作者の個性が発揮されているのか(選択の幅の中から一つの選択肢を選んだものであること)まで立証することまで求めているといえます。

一定程度以上に長いソースコードであれば、そこに選択の幅があることは当然のようにも思えますが、本判決から、裁判所はそれを「当然」と認識していないことが分かります。このため、裁判をする際には、この点に留意して、そのプログラムの「個性」を立証することが必要となります。

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