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ユーザーによるID・パスワードの売買・貸借への対応

ID・パスワードの重要性

ウェブサービスで使用されるユーザーごとのID・パスワードは、事業者にとって、個々のユーザーを識別し、ユーザーに応じたサービスを提供するために不可欠なものです。ID・パスワードの売買・貸借が行われると、登録上のユーザーと実際上のユーザーが異なることになり、ユーザーの管理ができなくなります。また、本来得られるべき利用料が得られないなど、経済的デメリットも大きいといえます。

よって、今回は、ユーザーによるID・パスワードの売買・貸借をいかにして防止するかについてご説明します。

利用規約による禁止

事業者としては、予め利用規約において、ID・パスワードの売買・貸借が生じないようにし、また、実際に生じた場合には、速やかに対応ができるようにしておくべきといえます。

具体的には、利用規約において、

ⅰ「ユーザーは、ID・パスワードを第三者に利用させることのほか、譲渡、貸与することはできない。」

ⅱ「ユーザーは、第三者のID・パスワードを利用して本サービスを利用してはならない。」

と規定することが考えられます。

なお、規定のしかたとしては、上記のようにID・パスワードに関する独立の規定を設ける方法のほか、禁止事項の一つとしてこのような規定を設ける方法もあります。

違反ユーザーへの対応

事業者がID・パスワードの第三者への提供等を発見したとき、ただちにサービスの提供の停止、IDの停止をなしうるよう、利用規約において

「本規約に違反する行為があった場合」

をサービスの提供を停止する事由の一つとして規定しておくことが有用です。

違反ユーザーへの損害賠償請求

ID、パスワードが第三者へ売買・貸借され、この第三者がサービスを利用した場合、事業者には、少なくとも本来その第三者が支払うべきであった利用料分の損害が生じることになります(課金方法によって異なる場合があります。)。

この場合、事業者としては、

①ID、パスワードの提供をしたユーザーに対する損害賠償請求

②ID、パスワードを使用した第三者に対する損害賠償請求

をすることが考えられます。

しかし、実際にサービスを利用した「第三者」の特定など、利用料の回収までには相当のハードルがありますので、現実的には、極めて悪質なユーザーなどに対して、限定的に行うことになるものと思われます。

このように、現実的なハードルはあるものの、利用規約で次のように規定しておくことで、違反ユーザーに対する抑止力となることも期待できます。

ⅲ「ユーザーは上記行為(ID、パスワードの第三者への提供行為、利用行為)によって事業者に生じた損害の全額につき賠償するものとする。」

おわりに

ID、パスワードの開示等は、頻発すればウェブサービス事業者にとって大きなダメージとなるものです。事業者としては、利用規約を整備し、このような行為に予め備えておくことが重要といえます。